本当のわたし
「あ!三木さん!」

ふと名前を呼ばれて振り向くと知らない女の子が立って行った。

誰だっけこの子?
あれー?

「生徒手帳落としたよ?」

あ、そういことね。

「ありがとう!」

生徒手帳片手にあまり人がいないところまで歩く。

そっと生徒手帳を開く。

あの子とのプリクラを取り出す。

「また1位なのー!?」

「うん、あんなの余裕だよ〜!」

「相変わらず凄いなぁ〜!またテスト前はお願いしますよ!」

「わかってるよ〜!任せて!」

中学生の頃にあの子と交わした他愛もない会話。

ねぇ知ってる?
あたしがどうしてこんなに勉強を頑張っていたか。
たった一つで良いからあなたに勝るものが欲しかった。だから必死で勉強したんだよ。

こんなこと恥ずかしくて最後まで口できなかったなぁ。

ねぇ、あなたは今幸せですか?
元気に笑っていますか?
あたしはやっぱりまだあなたが大好きです。
どんなに時間が経ってもやっぱりあなたに会いたいと願ってしまうよ。
嫌いになんてなれない。ごめんね。

涙が止まらなくて、その場に蹲る。

このままだと危ない気がしたので薬を飲む。

どんなに頑張って勉強をしても、もうあなたの目に触れることはないのに、もう癖になっちゃったよ。

いつかまた会えるかな。
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