本当のわたし
「なんでも良いから、とりあえず血をよこせって言ってるでしょ！？」

買い物を終えて、玄関の扉を開けたら聞こえてきたクソ女の声。

は？なんでいんだよ。
というかなに恐ろしい事さらっと口にしてんの？

「なにしてんの？」

俺は急いで陸斗達がいるリビングへ行き声をかける。

「あ、お帰り。」

「ただいま。」

「優希！あんたなんでまた勝手にこいつに会ってんのよ！？なんで私の言うことが聞けないの！？誰のおかげで今の生活ができてると思ってるの！」

焦った顔で一気に捲し立てる。
いやいや三木さんのおかげだけど。
口にしたらクソ女がめんどくさそうなので黙りを決め込む。

「とりあえず梨花落ち着いて？なんで僕の血なんか欲しいの？何に使うの？ちゃんと説明して？」

陸斗の言葉に少し冷静さを取り戻したのかクソ女はその場に座り込む。

「彼方のDNA鑑定するつもり？」

そのまま何も喋らなくなったので俺がそう問いかける。

「彼方って？」

陸斗はなにがなんだかわからないと言う顔をしていた。

「彼方は…俺の弟だよ。血は半分しか繋がっていないけど。」

そう俺がいうと陸斗は目を見開いて、驚いた顔をしてクソ女と同じようにその場に座り込んだ。

「どういう事…？」

震える声でクソ女に問いかける。

「あんたと別れて、今の旦那と結婚してから妊娠していることがわかったの。」

恐れていたことが起きてしまった。
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