本当のわたし
「それってつまり…」

陸斗は見た事がないくらいに困惑した表情をしていて胸が締め付けられる。俺がもっと早く話していたらよかったのかな…。

「あの子が日に日にあんたに似ていくところが見てられないのよ。やっと掴んだ幸せをどうして私から奪っていくの？なんのためにあんたと結婚したと思ってんの！？私が今の生活を手に入れるためにどれだけ頑張ってきたと思ってるのよ！」

クソ女は陸斗を力なく殴りながら叫び続ける。
どういう事だよ？何のために陸斗と結婚した？愛し合って結婚したんじゃねーのかよ。今の生活を手に入れるためにどんだけ頑張った？そんなもん知るかよ。

クソ女への憎悪でいっぱいになる。
陸斗がいなかったらこの目の前にいるクソ女を殴っていたと思う。

クソ女はぽつりぽつりと話し始めた。
初めて聞いたクソ女の計画に俺は殺意さえ覚えた。

陸斗とクソ女が出会う少し前、クソ女は三木さんに一目惚れしたんだそう。

会社を経営していてお金があって、もろ自分のタイプの容姿、優しい人柄。
全てがクソ女にとって理想そのものだったらしい。

しかし三木さんには忘れられない人がいて、その人の事を思い生きていくと硬く誓っていた三木さんはクソ女のどんなアプローチにもなびかなかった。

どうしたら三木さんと一緒になれるのか悩んでいた時、クソ女はある話を耳にした。

それは、後継が必要だと三木さんの親は三木さんに早く結婚するように何度も言っていることだった。
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