本当のわたし

どうして三木さんがこんなクソ女になんかと結婚したのかと疑問だったけどやっと納得がいった。

全てはクソ女の手のひらの中だったんだ。

「そこまでして俺を捨てたのに何で俺のこと引き取ったんだよ。」

「お義母さんに言われたのよ。お義母さんは私の素行調査をしてあんたがいることを知って、会社のイメージのためにもあんたを引き取らないと離婚させるって。大誤算だったけどしょうがなくあんたを引き取ったのよ。」

その言葉に俺はもう返す言葉がなかった。
俺は最初から誰からも愛されていなかったんだな。悲しさとかもうとっくに通り越していた俺は笑えてきた。

「ふざけんじゃねーぞ！優希がいらないだと？お義母さんに言われたから引き取っただと？それでも母親かよ！」

初めてみた陸斗の怒った顔。

「優希にとって梨花はたった1人の母親なんだぞ！？梨花はどうして自分の幸せしか考えられないんだよ！？俺は別にどんだけ傷付こうが別に構わない。でも優希はちげぇだろうが！梨花がお腹を痛めて産んだ子供だろうが！」

陸斗がこんなにも怒ったところなんて見た事がなかった。俺がテストで悪い点をとっても嫌いだと陸斗が作った飯を残しても怒ることはせずにいつも優しく笑ってくれたから。

「優希、言葉はどんな剣よりも鋭い凶器なんだよ。誰もがみんな持っている最強で最悪の凶器なんだ。でも言葉はほかの剣とは違って使い方を変えれば誰かを救うことの出来る盾にもなる。だから優希のもつ優しいを無駄にしないためにも言葉は選ばなきゃいけないよ。」

陸斗が前に俺に言ってくれた事を思い出す。だから陸斗はどんな時だって一度冷静になってから言葉を話す。

その陸斗がこんな感情的になっている事が驚きだった。