本当のわたし
買った靴を履いた真山さんと歩き出す。

問題が解決したはずなのに彼女の顔から深刻そうな雰囲気は消えない。

それがなぜか凄く気になってつい聞いてしまった。

「なにかあったの?」

「え!?」

「いやなんか深刻そうな雰囲気を醸し出してたから」

俺がそういうと真山さんは近くの公園に入りブランコに座った。

俺はブランコの近くにある柵に腰掛ける。

「大きな後悔をしたことある?」

「え?まあ、あるっちゃあるかな…」

少しのあいだ沈黙になり意を決して彼女は話し出した。

「私はある。しかもそれはきっと許されないこと。」

「どういうこと?」

「なんでかな〜。今までこの事誰にもいえなかったこの事をちゃんと話したのは今日初めてな夏川さんになら言える気がするのは。」

真山さんちょっとずつ話し始めた。

「私には凄く大切で大好きな友達がいたの。美人で、絵が上手くて、頭良くて、非の打ち所がないっていう言葉がよく似合う子だった。私はその子の事が自慢でその子と友達でいられることを誇りに思っていたの。でもそれはいつからか大きな劣等感に形を変えてしまった。きっかけなんて覚えていないくらい小さな出来事だった。その子の隣にいる事がどんどん辛くなって、最後は酷いことを言ってしまった。」

「酷い事って?」

「もうあんたなんか友達じゃない。あんたの事がずっと大っ嫌いだったのよ。って」

思い出したように話す真山さんは何処かへ消えてしまいそうなくらい悲しそうで、海で見た美月の姿と重なった。
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