本当のわたし
「それが2年前のちょうど今日なんだよね。」

「そうなの?」

「うん。だからもしかしたらその子に会えるかもしれないと思ってその言葉を言ってしまった場所に行ったの。会ってどうするんだって話なんだけどね。謝っても救われるの私だけなのに。その子の傷が消えるわけじゃないのに。」

そう言って真山さんは悲しそうに笑ってブランコを漕ぎ出した。

「そしたらさーその子に会っちゃったんだよね。久しぶりに見るその子は、最後に見た時よりも更に痩せててなんだか凄く辛そうで、見ていられなくて走って逃げてきちゃったんだよね。本当にダメな人間だよね。あそこのベンチに座ってたのはもう一つ理由があってその子とは最寄駅が同じだから待ってたら来るんじゃないかと思ったんだけど結局来なかった。当たり前だよね。」

ブランコを漕ぐのやめて泣き出してしまった。

「今でもその子の事が大好きなんだね。」

「失ってから気づくなんて最低すぎるよね…」

「俺はさ、自分の想いを口に出す大切さを最近知ったよ。口に出さなきゃ伝わらない想いもあるんだって思う。自分の想いをぶつける事は自分の自己満にしかすぎないかもしれない。でもそれは時としてその人の求めていた事かもしれない。まだその子は生きてる。まだ伝えるチャンスはきっとあるよ。俺はそれを自分自身ですごく実感したんだ。」

確かに真山さんのしたことは許されることではないのもしれない。

だけど、大きな後悔を少しでも小さくする事はまだできる気がするんだ。

だってまだ真山さんもその子も生きているんだから。
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