本当のわたし
「ただいま。」

「おかえり、花蓮」

「あれママ荷造りは?」

「うん。あとちょっとで終わるよ。」

「そっか。」

優しいママ。
明日からパパのところへ行く。
ママは「花蓮も一緒行こう」って言ってくれたんだけど、なっちゃん達と予定を入れてしまっていたので断った。

久しぶりにパパに会いたいんだけど忙しいみたい。

だけどパパは時間を見つけてはテレビ電話をかけてきてくれるからそこまで寂しい思いはしていない。

明日からこの家には優也とあたしだけになるのか。

みなちゃんもあと1週間したら春さんのところへ行ってしまう。

「ただいま。」

優也が帰ってきた。
あ、そうだ!

「おかえり。」

「うわ!珍しいな。お前がお出迎えとか。」

「ジャンケンポン!」

「え!?」

「やったあ!あたしの勝ち〜!って事で明日からの洗濯係は優也ね〜!」

「ちょ!お前今のずるいぞ!せめて3回勝負だろ!」

「やあだよ〜だ!」

「もう何をやっているのかと思えば。」

そう言ってママは楽しそうに笑った。

「親父にたまには帰って来いって言っておいて」

「もう直接言えばいいのに〜」

パパは元俳優で今はアメリカで芸能事務所をやってる。

優也はパパのコネだと思われたくて「中野優也」で活動をしている。

俳優の厳しさを誰よりも知ってるパパは優也が俳優になることを大反対した。

仲が悪いわけじゃない。

だからこそパパに負けたくない優也は必死に頑張ってる。

絶対口には出さないけど、凄いなと思う。
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