本当のわたし
「あれ七瀬春樹じゃん。」

「お!三木!」

アトリエに向かう途中に七瀬春樹と会った。

「今日休みなの?」

「いいや、今日はここで撮影なんだよ。今は休憩時間で飯を求めて三千里ってやつ?」

「つまんな。」

「冷たぁ〜!」

七瀬春樹と話すとわかる。
モデルとしての七瀬春樹と普段の七瀬春樹はギャップが凄い。

モデルいる時はクールでパーフェクトなイメージなのに、普段の七瀬春樹はアホでどこか抜けてて少年の心を未だに持ってる可愛い奴。

「お前ヒマ?」

「ヒマではないけど。」

「ちょっと付き合えよ。」

「嫌だよ。週刊誌とかに乗ったらどうすんのよ〜。あたし、なるのこと傷つけたくないもん。」

『七瀬春樹熱愛発覚の裏で実は二股疑惑!?』

みたいな?ちょっと本当に勘弁。

「だよなぁ〜。でもどうしてもあれ食べたいんだよなぁ〜」

「まさか1人で入りづらいとかそういう?」

「んな!お前!そんなわけは…」

語尾をそんなにどんどん小さくされると肯定にしか取れないんだけど。

「はあ。しょうがないなぁ。今回だけだからね?」

「本当か!?」

「ただし!メイクさんいるでしょ?ちょっと変装してきて。」

「わかった!」

犬みたい。
嬉しそうに尻尾振って変装しに行った。

なるはただいま家族旅行中なので呼びたくても呼べなかったんだろうな〜。

なるに悪い気もする。
隠してるのも後ろめたさが残るというか…
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