本当のわたし
Part3

side☆三月美月

文化祭の次の日
月曜日と火曜日は振り替え休日
久しぶりにここに来た。

「atelier twinmoon」

そう書かれたプレートが掛かる
扉を開けるとたくさんの絵の具やらキャンバスやらと3台のパソコン。

ここは私のアトリエだった場所。
あたしはいろんなデザインを手がけるイラストレーターだった。ハンドルネーム『双子の月』。

最年少イラストレーターなんて持ち上げられてたっけな。顔出しとか一切してなかったからあたしがその人物だと気づく人はいないと思う。

でも今はもうそれは出来ない。
なぜならもうあの子はいないから。
私がイラストレーターになれたのはあの子のおかげだ。

あの子がいない今、私はなんの絵も描けない、何もできない。

クッ……

ダメだ、ここに来るんじゃなかった
まだダメみたい。だってほら、またドンドン息が苦しくなっていく

ヒックヒックヒック…

なんでこうなの、なんで…なんで…過呼吸なんかになるの?

私が弱いから?もっと強くなりたい。

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