本当のわたし
でもあのクソ女は俺が一人暮らししたいって言ったらなんて言ったと思う?

「あらいつから?家は?もう目星ついてるの?」

反対もせず、それどころか何件か物件を出してきた。元から高校生になったら一人暮らしを提案するつもりだったんだろう。

「もう決めたから。」

そう言い放ってすぐさま陸斗に連絡をした。
驚いていたけど、約束は約束だからと強制的にあの家を貰った。

貰ったといっても賃貸だから色々引き継ぎで大変だったんだけどほぼ全て陸斗がやってくれた。

中学生1人が住むなんて無理な話だから形上は俺の勉強部屋とあのクソ女の物置と言うことにしたらしい。

だからあの家の名義は「夏川陸斗」のまま。

家具も一式、生活に困らないように全部三木さんが買ってくれた。

あの家に、あのクソ女も三木さんも歳の離れた弟も来た事がない。

当たり前の話なんだけど。

「優希」

昔の思い出をぼーと考えていたら懐かしい声に久しぶりに下の名前で呼ばれて我にかえる。

「戻ってくると思ってたよ。春樹」

「お前らしいな」

「遠慮せずなんでも聞けよ。」

「ばあちゃんもお袋もずっとお前のこと気にしてた。」

その言葉に少し驚く。

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