本当のわたし
「俺、ばあちゃんにも叔母さんにもやっぱりまた会いたい」

「喜ぶと思う。」

「ははは。春樹がモデルになった時、ケーキ買ってきたんだっけ？」

「まあな」

「ありがとう。」

「なにがだよ。」

「別になんとなくだよ」

「変なやつ」

春樹を再び見送って、改めて家路に着く。
俺にとって家族は陸斗だけだと思ってたけどそうじゃないのかもしれない。

ばあちゃんや叔母さん、春樹だっている。

俺は案外1人ぼっちなんかじゃなかったのかもしれない。

陸斗が泣きながらばあちゃん達に頭を下げいたのを思い出す。

「必ず幸せにしますから」って。

そんな陸斗の想いを踏みいじった事が何年経ってもあのクソ女を許せない理由の1つ。

知ってるんだ。

クソ女と陸斗が結婚してからも陸斗は時間を見つけてはばあちゃん達に会いに行っていた事。

何度も何度も頭を下げて認めて貰おうとしてた。

賞を取るたびに報告しに行ってちょっとずつだけどばあちゃん達が陸斗の事を認めて初めていたのに、その努力をクソ女は全部壊したんだ。

「僕が言えたことじゃないかもしれませんが、本当に愛し合っている家族ならば縁を切るなんてしちゃいけないんだと思います。彼女に相応しい人間なれるように頑張ります。だからどうか彼女と縁を切らないでやってください」

陸斗の言葉が今でも胸に突き刺さる。
陸斗には両親がいない。
小さい頃に両親を事故でなくてそれから施設で育ったからこそ家族というものに人一倍憧れがあって、壊れてしまうこと恐れたんだと思う。
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