本当のわたし
「ちょっとー!日向(ひなた)それ私の口紅じゃん!何で勝手に使ってんのよー!」
「いいじゃん!いっぱい持ってるんだから貸してよ!」
舞美の声に現実に引き戻される。
「お前なんでスピーカーで喋ってんの?」
「イヤホン忘れた。めんご。」
絶対謝る気ないだろ。
「はぁ。ほらよ」
「せんきゅー!」
しょうがないからイヤホンを貸してやった。
舞美には2つ下に妹がいる。戸籍上は弟らしいけど。舞美の妹は心が女で身体は男。
それが発覚したのが舞美が小3の時、日向が小学生に入るための身体検査で自分は女だって言った事がきっかけだったらしい。
その事に関して舞美と舞美の母親は、
「あ、そうなんだ。」と言ったのに対し、父親は「そんなはずないだろう!」と大暴れして家に帰って来なくなり、たまに帰ってきては日向に手をあげるようになっていった。
「どうして自分の子供にそんな事ができるの!?日向は日向でしょうが!日向は女だろうが男の子だろが私の大切な子供に変わりないわよ!」
そんな舞美の母親の言葉すら、舞美の父親には届かなかったと言ってた。
舞美の母親は、日向と舞美を守るために裁判まで起こして離婚をして引っ越してきた。
舞美は中学生のなる時、名字が変わってしまう事に対してモヤモヤしていた俺にこの話をしてくれた。
「こっちに来る時にね、谷川(たにかわ)から小田切になる事が慣れないなぁ〜って思う反面、凄く誇らしかったんだ。だってもうあんな父親と一緒じゃなくなる代わりにお母さんと一緒になれると思ったら、私もお母さんみたいに強くなれる気がしてさ。」
そうやって泣きながら笑う舞美を今でも覚えてる。
「いいじゃん!いっぱい持ってるんだから貸してよ!」
舞美の声に現実に引き戻される。
「お前なんでスピーカーで喋ってんの?」
「イヤホン忘れた。めんご。」
絶対謝る気ないだろ。
「はぁ。ほらよ」
「せんきゅー!」
しょうがないからイヤホンを貸してやった。
舞美には2つ下に妹がいる。戸籍上は弟らしいけど。舞美の妹は心が女で身体は男。
それが発覚したのが舞美が小3の時、日向が小学生に入るための身体検査で自分は女だって言った事がきっかけだったらしい。
その事に関して舞美と舞美の母親は、
「あ、そうなんだ。」と言ったのに対し、父親は「そんなはずないだろう!」と大暴れして家に帰って来なくなり、たまに帰ってきては日向に手をあげるようになっていった。
「どうして自分の子供にそんな事ができるの!?日向は日向でしょうが!日向は女だろうが男の子だろが私の大切な子供に変わりないわよ!」
そんな舞美の母親の言葉すら、舞美の父親には届かなかったと言ってた。
舞美の母親は、日向と舞美を守るために裁判まで起こして離婚をして引っ越してきた。
舞美は中学生のなる時、名字が変わってしまう事に対してモヤモヤしていた俺にこの話をしてくれた。
「こっちに来る時にね、谷川(たにかわ)から小田切になる事が慣れないなぁ〜って思う反面、凄く誇らしかったんだ。だってもうあんな父親と一緒じゃなくなる代わりにお母さんと一緒になれると思ったら、私もお母さんみたいに強くなれる気がしてさ。」
そうやって泣きながら笑う舞美を今でも覚えてる。