本当のわたし
陸斗の事を認めたわけじゃない。
でも、家族になるためにはそれ必要なのかもしれないと子供ながら思った。

その話をしてくれた時、舞美に1つだけ聞いたんだ。

「舞美はさ、日向が「女だ」って言った時どうして受け入れる事ができたの?」

「日向ね、生まれてくるギリギリまで女の子だって言われてたの。私、妹が欲しかったからすごく嬉しかった。でも生まれてきたら身体が男でさ、お母さんに泣きながら言ったの、どうして妹じゃなくて弟なの?って。そしたら日向が何かを察したかのように大泣きしちゃってさ。だから私があんな事言ったからなのかなって、だったら私がそれを認めてあげないでどうするんだって思った。それにね日向はお医者さんの言う通り生まれたときから女なんだよ。女としてこの世に生まれてきたんだよ」

舞美の言葉は同い年とは思えないくらいに大人びていて、真っ直ぐで優しくて、思わず泣いてしまった。もうすぐ中学生になる男なのになぁと思い出すと少しだけ恥ずかしい。
まあ隣で聞いた俊は最初から号泣してたけどな。

舞美はその時、笑わずに聞いてくれて否定するどころか他人のことなのに大泣きしてくれた俊の優しさに惚れたって言ってたっけな。

自分のせいで離婚したんだって落ち込んでばかりいる日向になんて声をかけて良いのかわからないって悩んでた舞美を見てきたからこそあんな風に元気に日向の声を聞く事ができて安心したな。

日向も中2か。
オシャレに興味持って当たり前だよな。
ましてや自称コスメ博士の舞美の妹なんだから。

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