本当のわたし
舞美の優しさと強さはちゃんと日向に伝わってる。

俺は一度だけ日向にめちゃくちゃに怒られた事がある。

陸斗と2人きりの生活。不安定なことばかりで毎日イライラして、かと思えば不安になっていわゆる情緒不安定ってやつ?

俊も舞美も心配してたけど、それすら煩わらしいと感じていたんだ。

お前らになにがわかるんだよ。
血の繋がった家族がいて幸せなんだろう?
そんなお前らに俺の気持ちなんかわかんねぇよ。
今思えばただ八つ当たりだったなぁ〜と思う。

陸斗を守りたいと思うけど餓鬼の俺には何にもできなくて悔しくて、結局迷惑しかかけられない自分が心底嫌いだったし。

ある日、一緒に帰ろう!っていう俊と舞美に対し、
「カップルは仲良く帰ってろよ」
と言い放ち1人家路についていたとき、舞美のお下がりのピンクのランドセルを背負った日向に思いっきり後ろから蹴られた。

舞美と同じように空手を習っている日向の蹴りはなかなか痛かったなぁ笑

「お姉ちゃんを泣かせないでよ!もうお姉ちゃんには泣いて欲しくないし笑ってほしいのに!どうして悲しませるの!?」

なんて言われたな。
その言葉で目が覚めたんだ。大切な人を守ると言うことは相手を幸せにすることと一緒なんじゃないかって。

陸斗にとっての幸せ、俊にとっての幸せ、舞美にとっての幸せ、日向にとっての幸せ、俺にとっての幸せ。

人それぞれ違えど、自分にできる事をしないでどうするんだ、と。
< 89 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop