本当のわたし

「あれ、思ってた反応と違う」

「みっちゃんってなに！？」

「俺が夏川だからなっちゃんなんでしょ？だったら三木はみっちゃんじゃん！」

「なにそれ！小学生みたいじゃん！」

「いいからいいから！早く行かないと暗くなるよ！」

「え、ちょっとなっちゃんー！！」

なっちゃんはあたしの腕を引いてスイスイと歩いていく。

「なっちゃん、駅はあっちだよ？」

「ヘイ！タクシー！」

「え？タクシー？今日あたしあんまりお金持ってないよ！？」

「大丈夫、大丈夫！俺が持ってるから！」

「そんな悪いよー！」

「いいの〜！いいの〜！勉強を教えてくれたお礼！」

結局言われるがままタクシーに乗って海に向かう。たぶんなっちゃんはあたしが電車に乗るのは辛いかもしれないって言う気持ちを察してくれたんだと思う。どこまでも優しい。
　
「夏休みはさ、水着を持ってみんな海に行ってそれからお祭りも行きたいよなぁ〜。ここら辺って祭りやってんの？」

「うん。学校から少し離れたところの神社でお祭りやってるよ。」

「楽しみだな！みんなで行こうな！」

なっちゃんのその爽やか笑顔がとても好き。
なっちゃんにはその笑顔が似合うよ。
あたしが保証する。