本当のわたし
「「ありがとうございました!!」」

タクシー運転手さんにお金を払ってお礼を言ってタクシーをおりる。

「海だー!!」

「三木、走ると危ないぞ!」

「大丈夫だよー!」

「すごーい!夕陽が綺麗だ!」

なっちゃんと夕陽を見ながら海をプラプラと歩く。なっちゃんとなら夕陽も見る事ができた。私、ちょっとは強くなれたのかな。
ふと思い返す倒れる前の記憶。
「三木優希」なっちゃんの本当の名前。
なっちゃんの家に書いてあった「夏川」と言う名前。

凄く気になるけど聞いちゃいけない気がするのはどうしてだろうか。

「いやだああああ!まだ帰りたくない!」

小さな男の子声でふと我にかえる。

すると隣のなっちゃんが立ち止まる。

「彼方(かなた)…?」

「お兄ちゃんー!!!」

なっちゃんが名前を呼んだ瞬間、小さな男の子は勢いよくなっちゃんの飛びついてきた。

「お兄ちゃん…?」

「お兄ちゃん!会いたかったよ!それにこっちの可愛いお姉さんはだあれ?」

「あ、美月お姉ちゃんだよ。」

彼方くん?を抱き上げてそう答える。

「初めまして。お兄ちゃんの友達の三木美月です。」

そう挨拶すると笑顔で「うん!」って言ってくれた。

彼方君の近くにいた男性がなっちゃんの名前を呼ぶ。
「優希くん。」

「三木さん」

え?三木さん…?この人が三木さん?

「パパ〜!久しぶりにお兄ちゃんと会えたよ!」

パ、パパ!?
なっちゃんのお父さんってこと!?
でもなっちゃん「三木さん」って言ったよね?
< 94 / 163 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop