本当のわたし
「全く帰ってこないから心配してたよ。住所も教えてくれないし」

「僕もお兄ちゃんに会いたかったんだよ!」

「あははは。ごめんね。」

なっちゃんの顔が暗く曇っていくような気がした。

でも、彼方くんを見る目はやっぱり優しくて三木さんを見る目が少し悲しそうだった。

「三木さん、この子は同じ高校の三木美月さん」

「初めまして。三木美月です!」

そう挨拶すると少し驚いた顔をして優しく笑って「よろしくね。」と言ってくれた。

「あ、あたし彼方君とあっちで遊んできても良いですか?あたし、末っ子なのでなんだか嬉しくて!」

なにがあるかわからないけど、なっちゃんと三木さんは2人で話す時間が必要なんだと思う。

「本当に!?やったあああ!」

「でも良いのかい?」

「はい!大丈夫ですよ!」

「三木、あんまり無理すんなよ?」

「大丈夫だって!彼方くん行こうか!」

「うん!」

彼方くんの腕を引いてちょっとだけ離れた場所に移動する。

「パパとお兄ちゃんいなくならないよね?」

「え?どうして?」

「ママがね、あんまり最近遊んでくれがないから」

ママっていうことはなっちゃんのお母さんだよね?

「大丈夫だよ。ちょっとお話しするだけだから」

今日、大丈夫って何回言うのだろうか。

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