Pallet
「好きなの……。私も春都のことが」

泣き止んだ私は、春都を真っすぐに見つめそう告げた。

「よかったぁ〜」

ホッとしたように綻ぶ笑顔。
そんな二人を邪魔するバス。

春都が乗るバスだ。

ドアが開く。
動かない春都。

「いいの?」

「いいんだ。もう少しこうしてたいから」

ドアが閉まった。

突然重ねられた唇。
驚きのあまり、目を閉じれなかった。

しっかりと自分だけ目を閉じている春都。
バスが走り出す。

そのバスの向こう側には、地平線から立ち上る入道雲が夕日に照らされ、綺麗なオレンジ色に染まっていた。

素敵なファーストキス。

唇が離れると、今度は私から目を閉じ、「もう一度」とお願いした。



第一話【オレンジ色の雲】...END

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