眠りの森のシンデレラ


「妃奈、今から帰るんでしょ
一緒にどう?」



……デジャヴ感半端ないんですけど。

でも、断る理由もないし……


「……帰る」


「ん、良かった

妃奈、どのへん?」


移動しながら手短に家までのルートを説明し、愛梨の家を尋ねる。


「私は、妃奈の二駅向こう側……かなぁ」


「そうなの?
結構、近いね」


笑いながら返事をすると、そうだねぇと呟きながらじゃあ一緒に学校行こう?なんて誘いを受けた。


……私、決まった時間に家を出るのは苦手なんだよなぁ。


「朝、電車で会ったらね」


「むぅ、そんな笑顔で言われると断られてるのかどうか分かんないよ」


「……

じゃあ、また明日ね」



軽く手を振って言うと、向こうも手を振ってくれた……されるこっちが恥ずかしいくらい大きな素振りで。
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