眠りの森のシンデレラ

「あなたなに人の彼氏と楽しそうに話してるのよ」


楽しそうにも何も話題はあなたの事なんですけど。


「なに?何か言いたそうな顔してるわね」


瀬戸くんにあなたの本性話してやろうか。


「言いたいことあるならはっきり言いなさいよね」


「なにも、ないです」



はぁ、心の中でしか反論できない自分が怨めしい。地味子なんて演じてる自分が怨めしい。



そう思った時、トイレの個室から水の流れる音が聞こえてきた。


……誰かいたの。


小野田さんはその事実に驚き、うろたえる。
それはそうだろう。彼女は数人の人以外の前では、イイコちゃんを演じているのだから。


ガチャ


「え……」


「あら妃奈じゃない
そっちの子は……友達?」



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