眠りの森のシンデレラ



個室から出てきたのは、愛梨でとても意地悪な顔で笑っている。


あぁ、これはやばいな……


そう思ったのもつかのま、バチ-ンと乾いた音が響いた。



「っ!何すんのよ急に!」


「あら、ごめーん
手が滑っちゃったみたい」


片目を瞑りながらいう愛理は、反省しているようにみえない。


「はぁ!?
あんなこんな事していいと思ってるの!?」


「え?どんな事?
私はあなたの頬に虫がいたからはらってあげようとしたら、力加減を間違えただけだよ?
だいたい、この事先生に言っちゃったらあんたがしてる事もバレるんじゃない?」



……悪魔だ。


愛梨は、悪魔だ。笑顔で人が気にしていることを言う、悪魔だ。



「っ!

瀬戸内さん、あなたもう翔太に一切かかわらないで

それと……まぁ言うまでもないでしょうけど、パーティにも来ないでくれる?

あなたがいると会場の雰囲気が台無しだし、それに、来ていく服も相手もいないでしょう?どうせ」


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