眠りの森のシンデレラ



キ-ンコ-ンカ-ンコ-ン


一日を終えるチャイムが響き、俺は急いで教室を出る。

……おひめさん、来てくれるかな。





「…………」


来ない。待てど暮らせどおひめさんは現れない。

……あぁ、ショックだな



図書室、行ってみるか。

……俺、こんなに執念深かったかなぁ。

とにかく、様子見に、行ってみるか。




「はぁっはぁっ……」


……なんで俺、たかが女の子のためにここまで走ってるんだろう。


最近、気づけばおひめさんの事ばかり考えている。
……たぶん、もしかしたら俺……


そんなわけが、ない。女の子1人に夢中になるなんて、あるわけない。


自嘲気味に図書室のドアを開け、奥に向かう。
彼女の、特等席へ。


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