眠りの森のシンデレラ


「あ、愛梨〜、どうしよう」

「もう、妃奈ったら落ち着きなよ
大丈夫、ちゃんと可愛いんだから

誰が支度したと思ってるの?自信もちな」


学校に着くまでの車の中、ずっと私は音を上げていた。

今更だけど、行きたくない。
先輩と踊ると考えただけで憂鬱になる。

……はぁ、こんな事なら断っておけばよかった


「妃奈?着いたよ
何曲かしたら早めに帰ろ?ね?」

「愛梨ぃ」


愛梨の優しさにうるっとして、抱きつこうとしたら


「こら、泣かないの
メイクが崩れるでしょ」


見事に追い返されてしまった。

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