眠りの森のシンデレラ


「二人共わかってるじゃん」

「え?」


何かを呟いた先輩の声が聞き取れなかったから聞き返すと

何でもないよ、とはぐらかされてしまった。


「ひめちゃん今日はメイクしてんの?

いつもスッピンだよね、かわい」

「ありがとうございます
先輩もタキシード似合ってますよ」

「俺のタキシードなんてどこにでもあるようなものだよ

ひめちゃんこそ赤いドレスに綺麗な黒髪がより一層際立って見える」


お団子にした私の髪に触れながら先輩が言う。

なんだか今日の先輩はいつもと……と言ってもまだ知り合って間もないけれど……いつもと違う。

凄く口が上手い。


「どーしたの、ぼーっとして

俺に惚れた?」


平然とそう言い、ニコッと微笑む。

前言撤回。
いつもより少し、妖艶になってるだけだ。


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