眠りの森のシンデレラ


「瀬戸内さん、おはよう」


ニコッという効果音が聞こえてきそうな程ニコッと笑った彼女。

……いじめの、主犯格。
いわばクラスのトップ、小野田 麻里。


「小野田さん、おはよう」


決して愛そうが良くないわけではないが、ニコッとは笑えない。
ぎこちなく笑っては見るものの、


「えー、やだこいつ、笑わないんですけどー

人がせっかく挨拶してあげたのに失礼だよね?
瀬戸内さん」


「……ごめんなさい」


よけて、席につこうと思ったのも束の間、足を引っ掛けられる。


あー、ほんと、めんどくさい。
どうせよけたらよけたでうるさいだろうしな。


軽くかかった風によろけ、謝る。


「ごめんなさい」


納得したのか、それ以上は何もせず、席につかせてくれた。


はぁ、亜里沙に会いたいな……


ここで亜里沙に頼るのは、情けなくてできないけど……
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