お隣さんと内緒の恋話
誰がわかるだろうか、今の私がどんなに幸せで、どんな顔をして 大好きな彼の腕の中にいるか。
自分で言うのもなんだけど、きっと 葵といる私は可愛いと思う。
葵が私だけを思って抱きしめてくれるから。
そして、私だけが葵の素顔を知っている。
この特権は誰にも譲れない。
校内でも有名なダサ男に恋をして、実はイケメンでも 本来 どちらも葵。
それを知ってる私は きっと特別。
「 椿… 」
呼ばれて顔を上げれば 重なる唇。
柔らかく、優しく甘い。
落ち着くドキドキが心地いい。
葵、好き… 大好き。
離れる葵の唇に、私は寂しさを感じて甘えた。
「 葵… も一回、して?」
「 ……っ、椿 その顔で言うな 」
なに、どんな顔よっ! 変?
眉間を寄せる私に、葵は フッと笑い またキスしてくれた。
は~ 離れたくないよ…
でも、時間は止まってくれないから ムカつく。
葵は 私に頑張れと、終わったらメールをと言って 先に帰って行った。
「 うっしゃ!頑張りますかっ 」
一人気合いを入れて、単なる追試補習に挑む私は教室に入って準備していた。
私と美耶子は自分の席に、A組から楓と美乃莉、C組から男子が一人来た。
柚奈が言ってた二人か…
確かに可愛いよね、うん。
「 お、揃ってるな。じゃあ 始めるか~」
雅くん、先生だなぁ…
ほんと別人だよ。
私の斜め前に座る、楓と美乃莉の顔を ふと 見てみた私は 驚いた。
あら、恋顔じゃない?あの二人…
二人の視線は雅だけを見つめている。
もしかして わざと赤点?