お隣さんと内緒の恋話
柚奈の言う通り、二人の目線には雅がいる。
「 織原、ぼうっとしてると また赤点だぞ 」
「 あ、はい… 」
ぼうっとしてたわけじゃないんだけど、あの二人が気になってさ…
そう思う私に、とてつもない濃い視線と目が合った。
体の奥から指先にまで走る寒気。
私はすぐに下を向いて答案用紙を見る。
ちょっと~ なに、今の… 怖いし~
美耶子も雅が好きだと思い出した私は 美耶子を見てみると、私にすら顔を向けない。
さらには雅が美耶子に話しかけても、真面目な顔で特別 笑みはない。
美耶子… あの二人の事知ってるんだ。
テストが始まり、雅が時おり生徒の様子を見て歩くだけ。
テストは意外と難しく、私は手が止まる。
ん~…
この問題、なんで昨日より難しくなってんのよ~
ふいに雅が私の席で立ち止まり、私の答案用紙を見る。
雅くん、お願い、私のそばに来ないでっ
なんとなく目線だけ雅に向け見ると、ニッコリする雅に 私はつられて笑みを見せた。
雅が私の席を離れた時、視線を感じて 美耶子を見ると 難しい顔で小さく首を振った。
え? なに… 美耶子?
わけがわからないままテスト時間が終わる。
雅がその場で採点する間、私は美耶子のそばに行き話しかける。
美耶子は私を窓際に誘い、グランドで部活をしている生徒たちを見ながら話してくれた。
「 椿、大きい声で言えないけど… あの二人には気をつけてね、ヒドい噂も聞いてるから… 」
柚奈と同じこと言ってる…
噂って 何…