お隣さんと内緒の恋話

葵にしがみつき目を閉じていた私はゆっくり目を開けて雅の方を見てみた。


雅くん、大丈夫かな…


「 雅… あれ、あの人… 」


え…

葵、知ってる人?


私と葵の見る先にいるバイクの人がヘルメットを取っていた。

葵が私の手を繋ぎ 雅に近づく。


「 やっぱり、あの人だ 」

「 あの人?」


で、誰なの?知り合いなの?


バイクを降りた男は 雅にニッと笑いかけた。


「 …加寿也 」

「 久しぶりだな、雅… 」


久しぶりと言った加寿也が、いきなり雅を殴りつけた。


「 やっ… 雅くんっ!? 」

「 変わんねぇな 加寿也さんは…」


そんなのんきなっ!

雅くんが、雅くんが…


殴られた雅は玄関ドアにぶつかり倒れはしなかったが、雅はわかってたように 冷静な顔をしていた。


「 雅くんっ!!」

「 大丈夫だよ、椿ちゃん 」


心配した私に 大丈夫と言う雅。

葵はただ、二人を見つめているだけだった。


「 椿、雅は大丈夫だよ、あの二人 幼なじみだから 」

「 幼なじみ?」


雅くんを殴ったのに?


「 蓮見 加寿也、雅とはあれでも仲良しだったんだ 」


だった…?

なんで過去形…


「 相変わらずだな、加寿也。しかも、手加減なんか… すんじゃねぇ、よっ!!」


あっ!


雅は加寿也に殴られたお返しをしっかりとし、手加減なく殴った。


どうなってんの…

なんで久しぶりで殴り合うわけ!?


「 兄貴も、挨拶で手加減なしとは 」


は!?

おかしいって……
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