お隣さんと内緒の恋話
冷静な雅をよそに、加寿也は聖奈に詰め寄り、聖奈は 加寿也を避けるように 俯いていく。
なに… この二人、どうなってんの?
加寿也さん、なんで聖奈さんに怒るの?
私は葵の隣で息を飲んだ。
「 椿ちゃん、加寿也と聖奈は婚約中なんだよ、長い長~い婚約中 」
「 えっ、婚約中!? だって、聖奈さんこの前… 」
言いかけて ハッとした。
言ってはいけないと、思い出した。
聖奈が雅とやり直したい気持ちでいて、許してほしいとの話を。
以前に聞いた話、雅は二股をかけられ、結果フラれたと。
つまり、聖奈は雅と加寿也を天秤にかけ、雅ではなく加寿也を選んだ。
頭の中で ある程度 整理がついた私は 口を手で塞いだ。
ヤバ…
禁句を口にしちゃいそうだったじゃん。
「 雅!聖奈と会ったのか?」
少し間を開けて 雅は聖奈を見て答える。
「 …来たよ、俺に会いにね 」
「 み、雅っ!やめて!」
あちゃ~ 雅くん言っちゃった…
「 聖奈… お前 なんで…」
「 だって、私は… 私はただ、雅に謝りたくて… 」
「 それなら俺に言えるだろ、なんで黙って会いに行ったんだよ!」
聖奈さん、もしかして 揺らいでる?
加寿也さんとの婚約で…