お隣さんと内緒の恋話

葵は気づいてない様子だが、私の視界には葉山がしっかり見える。

私は気づかれる前に 方向転換した。

私は適当に座り葵に電話する。


『 椿?なんで電話?』

「 あ、葵、大変なの!葉山くんがいるの、気をつけて 」

『 葉山が… わかった、椿 店前に出てきて 』



言われて フードコート前にある店を背にして葵を待つ。


葉山くんがいるとは… 不覚。

ってより 土曜日だもんね、誰かいるよね…

雅くんもいるし 会わないようにしないと。



「 椿、ここ離れよ 」

「 うん、賛成 」

「 土曜日だしな、他にも誰かいそうだな~ 雅は今どこにいる?」

「 電話してみたら?」

「 いいよ、まだ ほっとけばいい 」


じゃ、まだ二人きり… 嬉しいっ


フードコートを離れた私と雅はフロアを歩き店を覗いていく。

遠目の方から賑やかな声が聞こえてくる。


「 また イベントか?」

「 え~ こんな狭いとこでやる?」


だって バルーンアートだったし、無理でしょ。



そう思っていると、前から バルーンアーティストが現れた。

手には細く長い風船を膨らませ、クルクル巻き止めながら こちらに来る。



「 葵、来たよ!」


私と葵の周りには 家族や恋人たちが集まり、バルーンアーティストは私たちの前で止まり アートをリズミカルに作っていく。

白く長い風船と黄色い風船が、いくつも重なり出来上がったのはユニコーン。


拍手に囲まれるアーティストに、私たちは感動した。




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