お隣さんと内緒の恋話
確かに葵と雅は兄弟だから似ていて当然のことだ。
ただ、不思議と知られていないのが、兄弟だという事。
無理もないかもしれない…
葵は雅と違い、一見 花がない。
眼鏡に天然なふわふわ うねりのある癖毛の葵に対し、雅はさらさらな髪で爽やかで明るい上にイケメン。
葵は比べるもなく ダサ男のアダ名がついてしまい定着している。
本当は 雅と同じで明るく、男らしく、イケてる優しい人。
わかってもらうには、葵と雅、二人にいてもらうべきだ。
「 織原、お前 彼氏いんの!? 誰、クラスの奴か? それとも やっぱ 上山先生か?」
こいつはぁ…!!
「 葛西くんっ、今 彼氏と一緒に来てるから!」
雅くんは忘れてよ、違うんだから。
「 どこ!見てぇ、お前の彼氏…」
「 椿… 」
私の後ろ斜めに立つ葵が声をかけてきた。
葛西は葵を見て 言葉がすぐにはでなかった。
「 葵、遅かったね 」
「 椿の何にしようか迷って… アイスココアフロートにしたけど、いい?」
「 わ。ありがと~ 甘いの飲みたかったの!」
私が椅子の奥にずれると、葵が隣に座り ココアを目の前にスッと置いてくれた。
私と葵のやり取りを ただ黙って見ている葛西に対し、私と葵は しばし二人の世界。
「 生クリームにカラースプレーなんて 可愛いね~」
「 椿っぽいだろ 」
ん? 私っぽい…
「 それ、子供っぽいって言われてるみたいなんだけど?」
「 まぁ、俺から見ればな。可愛いって意味もあるけど? 」
や、やだぁ、葵ったら。
照れて葵の二の腕をパシッと軽く叩く私を、葵は笑みを見せながら 痛いと言う。
「 ……おい、バカップルさん、その辺にしとけよ 」
あ、忘れてた…