お隣さんと内緒の恋話

葵が鍋の湯を減らし、茶碗一杯分のご飯を入れて中火にした。


「 椿、卵は後からな。わけぎ… 見事な ざく切りだなぁ 小口切りって言うか、みじん切りな感じでいいから 」


あ~… そうなんだ。

私、意気込んだわりに作れてないじゃん…

お粥なんて 超~簡単だと思ってた。


「 葵、ごめんね…」

「 なんで?いいよ、椿の作るって気持ちは嬉しいし、雅もな。椿、ほら 塩入れるから 」


塩!それなら出来る!


私は目の前にある塩をスプーンに山盛りにして入れようとしたのを またしても 葵に止められた。


「 椿!? 」

「 え… 何!?」


なぜ止めるっ


塩分の摂りすぎ以前に、ご飯の量に対して塩が多いことに気づかなかった私を、加寿也が後ろで笑っている。


「 …くくっ ぶっ… ははははははは!」


加寿也さんっ!! さっきから笑ってばっか。


「 椿~ 塩そんなに入れたら辛いよ?」


あ… それもそうっすね…

なんてドジ…


「 椿ちゃん、俺に毒をっ…」

「 んなわけないでしょ!雅くんは寝ててっ 」


雅にまで変に言われた私は内心 落ち込み、顔はムスッとしていた。


「 椿、あとは俺がやるから、な?」


葵は優しいね… って 私が出来なさすぎ?

私はすごく不安に感じた、将来、お嫁にいけるのかと…


柚奈とキッチンから退散し、リビングに戻ると加寿也が笑いをこらえていた。


加寿也さんっ…


「 椿ちゃん、もしかしなくても料理ダメか?」


聞くんだ、散々 笑ってから。


「 苦手なだけです!」

「 椿~ 苦手って言わないと思うよ?」

「 柚奈、じゃ あんたは出来るわけ?」



笑ってごまかす柚奈の頬をつねると、少しスッとした。





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