お隣さんと内緒の恋話

私と葵、柚奈に 痛い視線を受ける雅を見ながら ふと よぎった事を思い出す。


まさかと思うけど…

あんなモノを まさか、葵が見てたりは…



「 椿、あんなの ほっといてケーキ食べようぜ。玉木も 」

「 葵~ 兄貴を捨てるなぁ 」

「 雅くんなんか… ポイよ!ポイ!」


自業自得だわ。


しょげる雅は部屋にこもってしまった。

そんな姿を柚奈は かわいそうだったかも と言う。

すかさず私は 柚奈に 今だけだから心配ないと伝えた。

ケーキを出してくれる葵が ココアを入れ直してくれた。


「 うわぁ、美味しそう!」

「 ヤバイね、ヨダレ出そう!」


私と柚奈はケーキに感動し、どれにするか決めかねていた。

そんな時、柚奈と食べたいケーキが同じだったのか 譲合いをする前に 柚奈が私を 覗き込み言う。


「 椿より、このケーキ 甘くないから私が食べるね?」


言われて驚き あんぐりしている私は何も言えなかった。

生クリームタップリでレモンの香りにブルーベリーがふんだんに使われたブルーベリーレアチーズケーキ。

私が食べたかったケーキを、柚奈は あっさり奪っていった。

しかも笑顔で。


悔しいっ…

ズルいよ、柚奈!


「 椿って、顔だけじゃなくて 口にも出るから 分かりやすいんだよね~ 」

「 じゃあ 私、ミルフィーユ食べる!」

「 んじゃ 俺はチョコ。椿くらい甘いから 」


は!? ちょ、葵? 今 言っちゃう?


「 上山くんもさ、やっぱ似てる、さすが兄弟だよね 」

「こらこらこら、柚奈!雅くんと葵を一緒にしないでっ 」


葵は違うんだから。

絶対に!! ………たぶん。
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