お隣さんと内緒の恋話

どうしたと逆に聞かれた私は葵を見てはいない。


「 雅に似た俺が嫌か? それとも、ダサいままが俺か?」


違う、違うよ…


「 葵は葵だから、嫌とかじゃないよ 」


そうじゃなくて…


「 じゃあ なんで顔見ない? 声もかけてこないし、避けてるだろ 」

「 そんなことしてない!だって 葵っ… みんなに囲まれすぎてて近づけなくて… 」



まるで雅くんみたいだった。

ダサ男って煙たがってた女子まで目の色変えて 葵のそばに…


「 俺が俺だってわかってんなら 独り占めしに来いよ 」


ドクンッ と跳ねた気持ちが 涙を誘う。


「 椿、ほら 来い 」


座っている私に手を差し出す葵には笑みがある。

ダサ男の葵を独り占めしてきた昨日までとは違う。

雅を見ているだけに、これからの日常には 私以外で女子たちが近づいてくる。


何より、それが嫌だ。

ダサ男であって、そうじゃない。

頭の中が悶々とし、困惑する。

それでも、差し出された手は 私だけのもの。



「 葵、私だけ見てくれる?」

「 俺が見なくてどうすんだ?椿だけがいればいい 」


葵~…

葵の手を握り引き寄せられて 抱きしめられる幸せ者は 私でいたい。


「 椿、キスは?」


えっ!?
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