お隣さんと内緒の恋話

テスト用紙の半分で 私の手は止まってしまった。

顔を上げて周りを見てみれば、時おり 誰かが見ている気がする。


笑里からって事は… 誰かが笑里に教えた?

でも 待って、図書室で密会って…

雅くんが図書室にいたの知ってるのなんて…

あ!嘘でしょ、玲音…

葵は私とずっと一緒にいた、って事は玲音が誰かに話したとしか思えないよ…

この粘っこい視線は雅くんラブの女子たちからだ!


こ、怖いっ……


チャイムがなる10分前、雅がテストを集めるよう言った。

私の答案用紙は半分白紙。

テストどころじゃなかった。

そして私は祈った…

お願いっ、チャイム鳴りませんように!

なんて お願いは神様には届かない上、時計がチクタク チクタク、チャイムを鳴らせる。


あ~ 神様の… はっ!


クラスの女子の中でも 雅を愛する 菜々、美耶子が私の机前に 仁王立ちする。


「 えっと、なんか用?」


いやいや、怖いって、顔がっ


「 ちょっと顔貸しなっ 」

菜々が言いながら 顎をクイッと動かす。


スケバンな呼び出し?

私は香伊羅や笑里を見て助けを求めようとしたが、私に気づいてない。


玲音~ あとで どついてやる!!

葵は? 葵… って いなーいっ


「 椿、来てよ 」

「 うん、わかったぁ…」


諦めて着いていくしかないと思った時、雅が私を呼んだ。


「 織原、職員室に来い 」

えっ!

これはタイミングいいというか、菜々と美耶子の顔が見れない…

呼ばれて仕方ないつもりで二人に謝り職員室に行く。

助かったのか、後が怖い…


「 失礼します… 上山先生、なんですか?」


横に立つ私に 雅がテスト用紙をピラッと見せてきた。

無言でヒラヒラさせ何か言いたそうにしている雅。


「 あの~ それが何か?」

「 何か?よく見ろ、さっきやった超簡単なテストだぞ、見ろよ 白紙だ!採点はまだだけどな?」


ん~?

あ… そうだ、笑里からのメールで私 テスト出来なかったんだ。

ヤバい…


「 すいません 」

「 どうした?悩みか?」


そうじゃないけど… 悩みに入りそうかな。


「 織原、何かあるなら言えよ?」


いや、あなたが問題なのよ?おわかりかしら。


「 大丈夫です、いいですか? 帰ります 」


そう言う私に、雅は椅子から立ち上がりボソッと呟いた。

夜、飯食ったら うちに来い。

その呟きに 私は ドキッとした。

雅の家となれば 葵がいる。

私の暗い顔は パァッと光が差した。


雅くん、今だけ超感謝!ありがとん!









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