お隣さんと内緒の恋話
「 椿ちゃん、ほらリモコン。テレビ見てたら?」
雅くん 気が利く~
リモコンを受けとる私に ふと 意味深に笑みを見せる雅がボソッと呟いた。
「 貸しだからな、椿ちゃん 」
「 え?」
言ってすぐにキッチンへと戻る雅を見て私はドキッとした。
貸し… どっかで聞いたような?
あ! 葵がよく言う貸し、あれだ!
まったく兄弟で貸し貸しって… どうかしてるし。
貸しの意味なんて考えもせずいた私は のんきにテレビを見ていた。
テレビを見だして30分。
ふいにキッチンの二人を見てみる。
葵… 雅くんも 会話ない?
炒めたり揚げたりと 調理する音だけがある。
なんで喋らないの… 兄弟でキッチンなんて楽しそうだけど。
「 椿、ちょっといいか?」
あ、お呼びだわ。
「 なぁに、葵 」
私の顔が見たくなったのかな~
「 前髪邪魔なんだ、洗面所にゴムあるから結んでよ 」
「 うん、いいよ 」
私は言われたとおり洗面所に行きゴムを手にした。
このゴム… 私のだ。
あの時ピンクのゴムであの髪結んだやつだ~
なんか嬉しいなぁ。
ゴムを手に葵のそばに行くと、葵が私に頭を傾けてくれる。
葵の前髪を結ぶと、ダサ男がイケメンに変身!
目が合えば 嫌でもドキドキしてしまう。
そして照れる。
カッコいいよ~ ヤバいよ~
「 椿ちゃん、俺もいるから 」
「 あ… ですね 」
見とれすぎた… だって カッコいいんだもん。
私の彼氏が。
いやぁ~ ヤバいでしょ これは~
しかも!このキッチン、イケメン兄弟が二人で酢豚作ってる~
私 幸せ者じゃん!