アサガオを君へ
ノンちゃんはビシッと私に指を向けた。


「宮野くんのこと、悪く言ったらいっつも怒るじゃん。私の経験上、宮野弟くんの言ったことはココの怒りメーター振り切れてるでしょう」


「んー…」


私はノンちゃんの横を見つめる。


そしてフッと笑った。


「栄治はどうしても、嫌いになれないんだよね」


「なんで??」


私は髪を右の耳にかける。


これから嘘つく。


右の耳に髪の毛をかけるのが、私の嘘をつくときの癖。


でも、そんなのノンちゃんは知りようない。


私初めてノンちゃんに嘘つくもん。


綺麗に右耳に髪の毛がかかったことを、指先で確認した。


そして肘をついてニッと微笑んで言った。


「夏樹の血を分けた弟だもん。嫌いになんてなれないよ。どんなに最悪で最低で汚い人間でも、その人に夏樹の血が一滴でも入ってるなら、それは愛すべき存在でしょう」


ノンちゃんはドン引きしたように顔を歪める。


「ココのそういうところ、私は一生理解できないし、慣れないと思う。正直気持ち悪いもん」
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