アサガオを君へ
ノンちゃんはため息をつきながら席を立つと、財布を鞄から出しながら言った。


「ご飯作らなくちゃいけないから家に帰ろう!」


今日はノンちゃんの家にお泊まり。


伯父さんには了解も得ている。


私も立ち上がる。


「悪いんだけど、一度夏樹の家によってもいい?今日はノンちゃんの家に泊まるって言うの忘れてたから」


「いいけど、メールは?」


「うーん。安定で返ってこないし、電話してもつながらないから、多分電源切れてるんだと思う」


ノンちゃんはそっかっとつぶやいて伝票をつまんだ。


お店を出ると、辺りはオレンジ色だ。


私は少しだけ早足でノンちゃんの前を歩く。


歩くのは結構好きな方だ。


景色が自分のペースで変わっていくのを見るのも好きだし、歩いてればきっとどこかに行き着く気がする。


行き着いた先が、夏樹の隣なら。


きっと、私は産まれてきてよかったって、何度も感じることができる。
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