アサガオを君へ
夏樹の家には思ったよりも早くついた。


ノンちゃんはピンポンを押したが、おばさんもいないみたいだ。


「鍵閉まってるし…。どうする?」


私は胸元を探ってペンダントを見せた。


ノンちゃんは首を傾げている。


銀色のハートがついた可愛いデザイン。


このハートには後ろにボタンがあって、それを押すとハートの側面から鍵が出てくる。


私はその鍵で夏樹の家の鍵穴に差し込みながら、ビックリした顔をしたノンちゃんに言った。


「これ、夏樹が中学生になった年の誕生日にくれたの」


特注品のペンダント。


これをもらったとき、すごく嬉しかったのを今でも覚えている。


鍵をくるっと回すと開いた音がした。


「すご!てか、家の鍵とか…」


ノンちゃんがドン引きしているのがわかった。


私はフッと笑った。


「これ、家の鍵だけじゃないんだ」


「?なにそれ」


「私もまだ分からないんだけどね」


この鍵には秘密がある。


ただ私もそれが何か知らない。


もらったときに夏樹が、家を開ける以外にもう1つ開けることができるっとだけ教えてくれた。
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