アサガオを君へ
全体的に夏樹の部屋の照明は少し暗めで、部屋も暗いグレーとかでまとめている。


昔からコツコツと家具を買ってきては、二、三日かけて配置を決めていた。


この部屋には夏樹の好きなものがたくさん詰まっている。


夏樹はベッドにもたれかかるようにして、床に足を放り出して眠っていた。


膝には、これまた読み古した雑誌が開いたまま乗っかっている。


私はベッドに無造作に置かれた膝かけを、夏樹にかける。


するとノンちゃんが部屋を見渡して言った。


「意外。すごい部屋に凝ってるじゃん。小説やドラマとかの余命切られた人ってさ、何か必要最低限なものしかおきません、だってどうせ死ぬんだもん、みたいな感じなのに」


「そこが良いところですから。…ていうか、ノンちゃんは夏樹に偏見持ちすぎ」


ノンちゃんは壁に貼られた、モノクロの写真見ながら言った。


「この部屋見て、ちょっと印象変わったよ」
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