アサガオを君へ
ノンちゃんは少しびっくりした顔をした。


「性格はぜんっぜん似てない」


「それは良かった」


ようやくニコッと笑った栄治は私を見た。


黙ったままの私に目線を合わせるよにしゃがむ。


「なに?言いたいことある?」


「いや、本当に転校してきたんだなって」


あの夏祭りの日。


あれ以来、栄治には会っていなかった。


夏樹にも栄治のことは聞かなかったから、今いきなり私の目の前に現れたのにびっくりした。


栄治は首を振った。


「まぁ、母さんのお願いだからね。うちが母親絶対なのは知ってるだろ?」


「ああ…おばさんね」


確かにあのおばさんには誰も逆らえない。


栄治がもし転校を反対したところで、強制的に勝手に転校手続きを済ませそう。


栄治は皮肉気に笑うと言った。


「相変わらず母さんは兄貴中心だから。それより、早くクッキー食べてみろよ」
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