アサガオを君へ
「あははは…。ごめん、ヨウチン」

ペーパーフラワー落としたら、元も子もないもんね。


急がない、急がない。


私はそう言い聞かせて、生徒会室までゆっくりとした足取りで向かう。


ヨウチンも私が心配なのかついてくる。


心配しなくてもいいのに。


チラッと横を見ながら私は言った。


「ヨウチンは走ったりしないの?」


「んー。俺は別に運動がさほど好きじゃないから」


「あはっ!運動音痴なんだ!」


「運動音痴って…。ココはどうなの?」


私は笑うのをやめて考える。


運動音痴…なのかな?


どうなんだろう。


私はへへっと笑った。


「私、真面目に運動したことないから、音痴かどうか分かんない」


「?体育は受けてるだろ?」


「そりゃあ、体育は受けるけど。運動って私の中で必要ないものなの」


夏樹のできないことに興味がない。


運動ができようができまいが、関係ない。


私はいつでも夏樹と同じ世界を見て行きたいから。


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