アサガオを君へ
このゾウさんジョウロは、夏樹にクリスマスプレゼントで子供のときにもらった。
一ヶ月百円のお小遣いを少しずつ貯めて買ってくれたこのジョウロは、何年も経って色が剥げてきたけど愛用している。
気が付いたら、ゾウさんジョウロから水が溢れ出ていて、蛇口を止めた。
そしてこぼさないように両手でつかんで植木鉢のもとにもどると、まだそこには夏樹がしゃがみ込んでいた。
ちょっとびっくり。
「まだいたの?」
「いや、もう帰る。じゃあ」
それだけ言うと夏樹は立ち上がって、スタスタと校門まで歩いて行った。
一度も振り向きもせずに帰っていく夏樹の後ろ姿が見えなくなるまで、私は立ち尽くしたまま見つめていた。
そしてようやく見えなくなったとき、植木鉢に水をあげた。
一ヶ月百円のお小遣いを少しずつ貯めて買ってくれたこのジョウロは、何年も経って色が剥げてきたけど愛用している。
気が付いたら、ゾウさんジョウロから水が溢れ出ていて、蛇口を止めた。
そしてこぼさないように両手でつかんで植木鉢のもとにもどると、まだそこには夏樹がしゃがみ込んでいた。
ちょっとびっくり。
「まだいたの?」
「いや、もう帰る。じゃあ」
それだけ言うと夏樹は立ち上がって、スタスタと校門まで歩いて行った。
一度も振り向きもせずに帰っていく夏樹の後ろ姿が見えなくなるまで、私は立ち尽くしたまま見つめていた。
そしてようやく見えなくなったとき、植木鉢に水をあげた。