アサガオを君へ
学校が近くになるにつれて、生徒の数も増えていく。


なのに、私の横には相変わらず、欠伸を噛み殺している夏樹がいる。


いつから一緒に登校しなくなったんだろう。


もう何年も前のことだから夏樹は覚えてないかもしれない。


私は覚えてる。


あのときは私もまだ両親と住んでいたから、夏樹の家から遠かったし、学校とも反対方向だった。


でもいつも、私がドアを開けるとそこに夏樹は立っていた。




それなのに、栄治が中学になった年の春に、夏樹が私を迎えにこなくなった。


朝学校についても、夏樹はいなくて。



いつも、遅刻ギリギリで学校に来るようになった。


それについて詳しく聞いたことなんてなかった。


迎えにこなくなったことに、少なからず寂しかったけど、不思議には思わなかった。


夏樹が考えてしていることを、否定するはずなんてなかったし、学校外では今まで通りだったから。
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