アサガオを君へ
アッキーは使い古した運動靴に、いつもの真っ黒のリュックを肩から下げている。


いつもと違うのは、あからさまに怒った顔だけ。


ニコニコしたアッキーのイメージしかないから、ちょっと怯んでしまう。


アッキーはドンっと栄治の肩に拳で叩く。


「仲が悪いんは聞いとったけど、足手まといってなんや?歳下のくせにええ加減にしとけよ」


「は?あんたに関係なくね?」


栄治は栄治で、アッキーの手をバシッと払いのける。


歳下扱いされることにも、夏樹の弟と言われることにも敏感な栄治。


少し人を見下した感じのある、自信家で友達思いのアッキー。


この2人の相性は正真正銘最悪だ。


アッキーは栄治の首元をつかんで言った。


「お前、リレーのアンカーなんやって?精々頑張りや。一位は俺のもんやからな。夏樹の弟なんかに負けへんわ」


嘲ったように笑って、『夏樹の弟』っという単語を強調して言った。


その瞬間、栄治がキレたのがわかった。
< 158 / 224 >

この作品をシェア

pagetop