アサガオを君へ
夏樹の長いお昼寝の言い訳を聞きながら、2人で並んで歩いて10分。


昔ながらの銭湯について、ガラッと引き戸を開けるた。


「あ、心!!夏樹!!」


若い女の子の集団の中から長身の男の人が、私たちに手を振っている。


私は苦笑いを浮かべて夏樹に言った。


「ねぇ、夏樹。あそこに見える集団は女子大生じゃないかな?」


「ん。羨ましい限りの状況だな」


ニヤニヤと笑いながら夏樹は靴をぬいでいる。


私もため息をついて靴をぬいでいると、長身の男の人がこっちまできた。


爽やかに微笑みながら私の頭を撫でて言った。


「今日は遅かったな。ちゃんとご飯食べたか?」


「…叔父さん。いい加減に、女の子にだらしないのやめなよ」


「おいおい、そういう人聞きの悪いこと言うなよー!」


ギャンギャンとわめくこの人こそ、私の血の繋がった叔父だ。


お母さんの弟で、まだ32歳。


美容師の専門学校を出てすぐに、ちょっと海外行ってくると言ってずっと音信不通だった。


< 17 / 224 >

この作品をシェア

pagetop