アサガオを君へ
自分の好きなことに真っ直ぐな夏樹が、私はとても大好きだ。


私は…。


自分の好きなものを好きと言葉にすることですら、怖くて出来ないでいるのに。


「家族で行くの?」


「母さんと、父さんはついてくる。でも、栄治は分からない」


「あー…」


私は苦笑いを見せた。


確かに栄治はついて行かないかもしれない。


今のままなら、きっと絶対に行かないんだろうな。


信号待ちで立ち止まると、突然訪れる沈黙。


車の列を真っ直ぐと私は見つめている。


夏樹は信号を見つめている。


全く交わらない視線。


全く会話のない時間。


嫌いじゃない。


隣に入れるなら、交わらない視線も、会話のない時間も苦痛じゃない。
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