アサガオを君へ
無表情だった私の顔が、どんどん歪んでいくのが分かった。


込み上げてこない涙に、疑問を覚えて。


あ、今はそれどころじゃないんだって心が理解した瞬間。


私は今自分の置かれている状況も理解した。


「夏樹!?」


バッとその場に膝をついて、夏樹のうつ伏せになった体をひっくり返した。


呼吸は荒いままで、体は冷たいのに額から大粒の汗が浮き上がっている。


私は夏樹の上半身を起き上がらせると、夏樹の腕を自分の首に回して言った。


「夏樹!!聞こえる!?病院が近いから連れて行くから!!聞こえてるなら、そのまま私の背中に乗って!?」


目は相変わらず固く閉じられたままだったけど、意識はあるようでギュッと私の首に回した腕に力を入れた。
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