アサガオを君へ
ひたすら夏樹の額に、自分の額を押し付けて。


私は動けなくなってしまった。


そのとき。


「ココ!!夏樹!!!」


打ち上げに行ったはずのアッキーが、車道を横切って駆け寄ってきた。


そして夏樹の体に触ろうとした。


私はそれが分かった瞬間、思い切り顔を上げて叫んだ。


「触らないで!!!!!」


もうやめて。


2人きりにして。


誰も入ってこないで。


怖い。


もう私の知らない夏樹が増えるのは嫌だ。


私と夏樹を、もう放っておいて。


私はまた夏樹の額に自分の額を強く押し当てて言った。


「お願いだから…もうやめて。引っ掻き回さないで。…触らないで…」


ギュッと目を閉じた。


夏樹との目を見られないなら、もう私に目なんて必要ない。


見えなくていい。

< 189 / 224 >

この作品をシェア

pagetop