アサガオを君へ
気付けばポタポタと涙が落ちていた。


止まらない涙は、どんなに流れても、私の悲しさを埋めてはくれない。


私は頭を抱えたまま言った。


「夏樹の血、あったかかった。生きてる。ちゃんと夏樹は心臓が動いて生きてる。…なのに、もうすぐ死んじゃうんだよ」


アッキーは私を黙って見つめていた。


そんなアッキーを私は涙が止まらない目で見つめながら言った。


「朝、アッキーは私に、がっかりだって言ったよね。私にはがっかりって」


アッキーは何も言わない。


だから私は勝手に続けた。


「私はさ、みんなに期待されるほど良い子ちゃんでも何でもないの。正直、私が一番夏樹の死に向き合えてない」


どんなに口では分かったようなことは言えても、夏樹の死ぬ瞬間まで一緒にいたいっと願っている以上。


私はちゃんと夏樹の死を受け入れれていない。


ギュッと唇を噛み締めたあと、乾いた唇を開いた。


「アッキーは、自分が死ねば夏樹は助かるって言われれば死ねる?」


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